読んだ。

REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方

REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方

倒錯しているが、今日の法はアマチュア作品は非合法だと主張しつつ、YouTubeには、アーティストがリミックスした作品から間接的に儲けても見逃すとしている。これはどう見ても逆だし、それを逆転させるための法的な改革が適切だ。

p.246


著者の主張は以下だ。


著作権法は表現・制作のための重要なインセンティブ確保手段として認めつつも、現行の「自動的に登録され自動的に保護される」法は改訂されるべきである。このような規定は財産権を規定する諸法の中でも異質であり、他の財産権保護の法と同様、著作権知的財産権に対しても、権利者の(真っ当といえる範囲での)財産保護努力を求めるべきだ。
著作権戦争が勝ち目のない戦争であるなら(実際にはほぼ確実にそうなのだが)、私たちがすべきなのは「みんながやってる当然のこと」をしている若い世代を犯罪者呼ばわりすることなのか? そうではない。
それは防げない犯罪は非罪化してしまおうという消極的姿勢ではない。
結果的に人々に犯罪を犯すよう促してしまっている現在の状態を改め(便利で使いやすくしかもタダのp2pソフトと、高くて不便な「公認」制度)、そして守るべき権利とそうではない「権利」を区別する事が必要である。


以上が著者の主張である。
キモはプロとアマチュア、コピーとリミックスを区別し、そのマトリクスで作品の頒布権を設定することだろう。
レッシグは明確に、リミックス作品についてリミックス者に少なくとも一定の権利(イコール、その創造性に敬意を払うべきだということ)を認め、特にアマチュアのリミックス作品については、自由に頒布を認めるべきとする。


ま、そうかなと頷ける部分が多かったが、上のマトリクスの区別基準の問題と、プロのコピーに対する権利をどう守るべきなのかという点については問題はまだ残ったままではある。
ひとまず、リミックスに関してリミキサーに権利=創造性を認めよう、というのが本書で進めようとしている一歩なのだろう。
これは頷ける見解だ。「原典」の作者が他者の手によるその派生物についても包括的に権利を持つと言わんばかりの現行法は、明らかにいびつなシステムだ。そのシステムは原典の原典性の問題についても解答していない。