2008-01-01から1年間の記事一覧
今日では大衆社会論はさまざまに批判され過去のものとなっている。たとえば戦前のドイツ社会について中間集団や媒介組織が弱体であったとされるが、ファシズム運動がそれほど広まらなかったフランスよりもそれらは強固であったなど、事実との不一致が指摘さ…
清水幾太郎 『社会心理学』(岩波書店、1951年) 「大衆」 出自 (「誰が大衆となるのか」は不明) 特徴 共同体の崩壊により情緒的に満たされず、孤独・不安・無力という心理に衝き動かされる マスメディアにより操作される(マスメディアへの批判能力に欠け…
20世紀における欧米資本主義の独占段階への移行は、「経済」における資本構成上の高度化のみならず、この高度化の前提をなす生産の社会化を基礎として、「社会」の形態変化をもたらした(p10) 生産の社会化を基礎とする資本主義の産業資本段階より独占資本…
国家、私企業、組合など社会生活の全般にわたる官僚制化の進行という認識を機軸に、大衆民主主義の進展とそこにみられる特有の社会心理的諸現象、とくにその病理的徴候の認識をくみあわせて成立したのが、その後における大衆社会論だといってよい(p308) …
清水幾太郎 『社会心理学』(岩波書店、1951年) 「大衆」 分化、拡大、機械化という「近代的人間の本質ないし原理」の見地に立てば、本来的には個人から社会まで到るところに合理性が保証されるはずだが、実際には次の三つの側面を、社会のピラミッドの底辺…
「大衆社会」 「大衆」が恒常的に表舞台にでた社会のこと。 一部の名望家(古典的西欧市民社会の「市民」含む)だけでなく、貧しい労働者や商人、および地方の小農民などからなる「大衆」が、国民国家の公民としての資格を与えられてその社会の実質的な成員…
現在の論文進捗状況 読んだ本:10冊(6/28〜)清水幾太郎『社会心理学』(岩波書店、1951年)西村勝彦『大衆社会論』(誠信書房、1969年(新訂版。旧版1958年))真田是『現代社会学と社会問題』(青木書店、1965年)後藤道夫『収縮する日本型<大衆社会>…
後藤道夫批判を通じて最新の大衆社会論の可能性を探っては? 後藤道夫に何が足りないのか? 後藤は新自由主義をどう位置づけているか? どこに新自由主義批判の足場をもっているか? 後藤道夫の枠組みをどう生かしうるのか? 後藤の論に賛成、では論文になら…
元来、massあるいはmass societyという概念は、十九世紀ヨーロッパの知的伝統の下で登場した概念で、明らかに負の価値を背負っている。このような負の概念としての側面を厳しくとり出して分析を構築したのが、最近の西部邁氏の一連の労作で、私の知るかぎり…
ふりかえれば、そもそも20世紀の帝国主義戦争は、近代的諸価値の帝国主義的解釈(「文明」「効率」「国益」などを軸とした)をともなって行われており、いかにそれが野蛮で非人間的な内容をもったものであっても、それを前近代的とみなすことはできない。本…
1951:清水幾太郎『社会心理学』 1958:西村勝彦『大衆社会論』 1959:松下圭一『現代政治の条件』 1965:真田是『現代社会学と社会問題』 1967:辻村明『大衆社会と社会主義社会』 1982:「戦後日本の社会状況 ――日本型「大衆社会」の安定装置――」『講座 今…
(1)問題意識・論文の目的 日本の政治学・社会学における大衆社会論において、「大衆」概念がこれまでどのように措定されてきたのか、そして時代を経るにつれ如何に変容したのか? また何が変容していないのか? 日本の主要な文献を考察することでその研究…
気付いたらあと二日しかなくなってるぞ? おかしいな、いつの間にかオリンピックも終わってるし……。 確か俺は八月の初旬にいた気がするのだが……。
小田島先生は東大に勤めていても、官舎の四畳半に一家四人で住んでいたという。1960年代のことだ。今の人なら耐えられないだろう。その辺が、誰も餓死するわけでもないのに格差社会とか大騒ぎする連中がいる理由なのだろう。 http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1…
論文構想発表会で出したヤツをタネにして、アウトライン的なものをそろそろ考えたい。 というか中心となる問いをそろそろ出さないと。 前回の発表内容 ***(以下、前回までの内容)*** 【題】日本大衆社会論は何を語ったか(仮) 【構成】未定 ***(以下、前…
要約 「デモクラシーの時代」とされる「現代」とは何か、という問いに答えようとする際の出発点・立脚点が問い直されなければならない(p8) 大衆社会ということで過去に何が議論されてきたのか(p12) 松下圭一の政治理論、50年代の「市民政治理論」研究…
現在の論文進捗状況 読んだ本:8冊(6/28〜) 清水幾太郎『社会心理学』(岩波書店、1951年) 西村勝彦『大衆社会論』(誠信書房、1969年(新訂版。旧版1958年)) 真田是『現代社会学と社会問題』(青木書店、1965年) 後藤道夫『収縮する日本型<大衆社会…
怒涛のような先週のことをここで一度まとめておく。 時系列としてはタイトルの通りの順だが、敢えて出来事の順番やどこで何が起こったかという区別にはこだわらない。 思いつくことから思いつくだけ書く。 映画『靖国』 最高。 映像としては確かに素人ドキュ…
現在の論文進捗状況 読んだ本:7冊(6/28〜)清水幾太郎『社会心理学』(岩波書店、1951年) 西村勝彦『大衆社会論』(誠信書房、1969年(新訂版。旧版1958年)) 真田是『現代社会学と社会問題』(青木書店、1965年) 後藤道夫『収縮する日本型<大衆社会…
(関連ありげな部分を飛び飛びに読んだだけなのでアレですが) 要約 戦後経済同様、戦後の日本政治も他の先進産業諸国に見られない独特の軌跡を示してきた。その最大の特徴は他に例のない保守政党の全期間に及ぶ優位である(p159) 高度大衆消費社会は、階…
現在の論文進捗状況 読んだ本:6冊(6/28〜) 清水幾太郎『社会心理学』(岩波書店、1951年) 西村勝彦『大衆社会論』(誠信書房、1969年(新訂版。旧版1958年)) 真田是『現代社会学と社会問題』(青木書店、1965年) 後藤道夫『収縮する日本型<大衆社会…
すいません、途中で投げました(ボム) うわあ、これも一応論文できるまでに読まなきゃダメなのかなあ? 勘弁して欲しい(笑) 読んだ部分だけを無理矢理まとめると 「快楽主義と平等主義の行き過ぎが産んだ『豊かな社会の病理』を表すためにいま再び大衆批判…
要約 大衆社会現象が現代社会の急所を突く研究分野であるなら、同じアプローチで社会主義社会に対しても分析がなされるべき。そのための材料はすでにある。(p鄯) 第一章 第一節 私がマルクス主義者に抱く疑問とは、彼らが資本主義社会については事実の次…
現在の論文進捗状況 読んだ本:5冊(6/28〜) 清水幾太郎『社会心理学』(岩波書店、1951年) 西村勝彦『大衆社会論』(誠信書房、1969年(新訂版。旧版1958年)) 真田是『現代社会学と社会問題』(青木書店、1965年) 後藤道夫『収縮する日本型<大衆社会…
現在の論文進捗状況 読んだ本:4冊(6/28〜) 清水幾太郎『社会心理学』(岩波書店、1951年) 西村勝彦『大衆社会論』(誠信書房、1969年(新訂版。旧版1958年)) 真田是『現代社会学と社会問題』(青木書店、1965年) 後藤道夫『収縮する日本型<大衆社会…
現在の論文進捗状況 読んだ本:3冊(6/28〜)清水幾太郎『社会心理学』(岩波書店、1951年) 西村勝彦『大衆社会論』(誠信書房、1969年(新訂版。旧版1958年)) 真田是『現代社会学と社会問題』(青木書店、1965年) 現在読んでる本:後藤道夫『収縮する…
Ⅰ 大衆社会の課題 今日では、大衆社会と呼ぶにふさわしい現象がわれわれの前に現れている。 大衆社会という語が用いられるとともにそれが強く認識され始めたのは、ファシズムが自由主義的民主主義に代わって現実化した1930年代に入ってから。従って発想とし…
要約をやっと書き終わったので(要約というより自分へのメモみたいになってるけど気にしない)そろそろ感想を書きたいんだけれどもなんかすげー疲れたので手短にまとめてまた後日書き足したいと思いつつとりあえず今言っておきたいことを書いておく。 ときど…
現在の論文進捗状況 読んだ本:3冊(6/28〜) 清水幾太郎『社会心理学』(岩波書店、1951年) 西村勝彦『大衆社会論』(誠信書房、1969年(新訂版。旧版1958年)) 真田是『現代社会学と社会問題』(青木書店、1965年) これから読む予定の本:後藤道夫『収…
第一章 社会心理学の発展19世紀末に成立した社会心理学には二つの傾向がある。 一つは群集心理の研究を中心とするもの。これは19世紀末から20世紀初頭にかけてフランス、イタリアをはじめ西洋諸国で行われた。 もう一つは社会・集団との関係において個人を研…