ああ、カーテンは

買ったよ。流石に僕も文明人なのでね。
下品な無カーテン族と同様に扱ってもらったんじゃ辱しめを受けたのと同じさ。
あんな下劣な民族は一刻も早く撃滅すべきだね全く。

さて一人暮らしを始めて二十日ほど経ったが、正味な話寂しくてヤバいのでこれ。こんなもんよくお前等耐えられるな、すげえな現代人ども。鋼の精神力かよ。歴戦の兵士かよ。犬の一匹でも飼わないと精神が耐えられそうにねえ。

仕事の都合もあって週一くらいで実家帰ってるけど、実家から帰るときの虚脱感もうどうしようもない。
我ながら甘ちゃんすぎるとは思うのだが俺はこの先家族にあと何回会えるのだろうと、ああこの日常の一切も何一つ永遠ではないのだと思うと無性に泣けてくる。ああ、何一つ、何一つ永遠ではないのだ。このなんという悲劇!

もともとそういう傾向が自分にあるのはわかっていたが家を出て切々と身に染みてきた。愛も愛の空虚も痛みなのだった。

帰る場所がないというのはどんな苦しみなのだろう。想像するだけでまぶたの裏に痛みが走って目を開けていられない。こんな苦しみがあっていいのか? こんなものがなぜ許されるのだろう。

世界が愛に包まれるならどうかそうして欲しい。
全ての孤独な子らが救われますように。
人の子らにあまねく愛の光が降り注ぎますように。
冷たい夜風が荒びさらうこの野辺に歩む者たちに、一筋の灯火を。
人間に愛と音楽よあれ。