(再掲)報われぬ魂のために。

(元記事 2008年06月10日23:58)

いよっしゃあああああああM社から内々定もらったぜええええ!!
皆さん色々相談に乗ってもらったりして本当にありがとうございました!!!
いえーいいえーいあはははははは!!!!
皆のおかげだよもう感謝しても感謝したりないよ全然自分ひとりの力じゃあここまでこれなかったし何度もくじけそうになったけど最後まで支えてくれた両親に本当にありがとうと伝えきれないくらい伝えたいよ最後まで自分のことを信じ続けてよかったよ頑張れば報われるんだねこの喜びの気持ちを忘れずにしっかり社会のために貢献したいと思いまあばばばばば!!!


















……はぁ、シューカツ学生伝統の舞はこんな感じでいいですかね。
じゃあここからは俺らしい話でもしますか。

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「苦しかったけど良かった」なんて絶対に言わねえからな。
行き先の「工場」が決まって「プロレタリアート」になれるとわかったとき確かに俺は嬉しかった。それは認めざるを得ない。でもその喜びでここまでの全てが肯定できるなんてまったく思わない。
こんな行事を指して「人間として成長できる」なんてニヤケてる連中アタマおかしいよ。
どう見たってここには狂った何かがある。
構造的に自分らで追い込んでおいて、その迷路から抜けられたら「おめでとう良かったね」っておかしいだろうが。どう見てもマッチポンプじゃねーか。そんでもって実は迷路の出口も「ねずみ車」行きの一本道なんだけどねってお前等笑わせんなよ。

自分の道行きがわからない苦しみがどんなものか身を持って味わわせてもらった。ありがとよ。
お学歴で相当上げ底してやっとこれかよ。ふざけんな。お勉強がたまたま出来なかっただけで日本中の俺の同級生たちがいったいどんな扱い受けてるのか想像すると反吐が出る。

「学歴の低い人間はいらない」。
「暗い人間はいらない」。「自分に自信のない人間はいらない」。
「要領の悪い人間はいらない」、「夢のない人間はいらない」、「嘘のつけない人間はいらない」、「お社会のルールに従えない人間はいらない」「こむにけーそん能力のない人間はいらない」etc,etc....

こんなゴミみたいな飛語がはしゃいでるのをよく許せるな手前等。
FUCK。まとめて死に腐れ。

いま俺の手元に蜘蛛の糸が降りていようがいまいが関係ない。それで「良かった」になったものなどないし「良かった」になんてさせない。俺は俺の溜息も唸りも呪詛も破壊衝動も何一つ離さないし、誰にも上書きさせない。なかったことにさせない。
「六月のはじまり」は聖句でしかありえない。
誰にも改竄など許さない。今ここにいるこの俺にも。

そして、同時に「生まれ落ち損ねた俺」の影がそこにある。
たまたま運が悪く、たまたま呼吸が合わず、たまたま躓き、たまたま恵まれず、巡りあうことができず、たまたま誰にも振り向かれることのなかった「俺」が、どこにも行き着けなかったかもしれない可能性が、俺の亡霊として生まれたのだ。
俺は翳りのように俺の肌に重なるそれを忘れたくない。
ここにいる俺が苦艱のときを小手先で上手く避わせたろうが避わせなかったろうがそんなのは関係ない。ここにいる俺は無視できない確率論に左右された俺でしかない。因果的な、あるいは運命的な要素に這入りこませる余地など全くないがゆえに、「現実」は俺の何一つを肯定してくれない。「結果」の中にあるらしい頼りなげな「(頑張っていたらしいという)徴候」に自分を託すなんてまっぴら御免だ。

だから、せめてそこにいた俺を今ここにいる俺が覚えていようと思う。
「社会」に取り入ろうと自分を誤魔化したこと、現状に向き合うことからひたすらに逃げようとしたこと、情けない呟き、呆れるほどの怠惰さ、無根拠な傲慢さ、そしてどうしようもない甘えとともにそこにいた救いようのない俺に、「そこにいてくれ」と願う。
自分の歩んできた道、ではなく、本当にどうしようもない奴だが、それでも神に祈ろうとしてしまうことに抗い、言葉にならない何かと究極的には一人で戦い、未来の俺に「がんばれ」と言ってくれた、全ての未来の俺を想っていた、想われるべき過去の俺として。

そして彼から生まれ落ち、俺の身代わりとして「この世界」には生まれ損なった報われぬ魂たちのために、今はただ祈りを。