Just like wildfire.

しまった……、アボカドとアボガドロ数の関係を考えていたらこんな時間に……。
その他にも何故祖母が何度訂正しても一味唐辛子をコショウと呼ぶのを止めないのかとか小学校時代のクラスメイトが星のカービィをどうしても星のカビーと発音してしまうのは何故だったのかとか独壇場が独擅場を駆逐したのはどうしてなんだとかそういう宇宙の中で真に探求すべきことをひたすら考えていたらこんな時間になった。
誰が悪いわけでもなくこんな時間になった。
世界はこんな時間になるしかなかったのかもしれない。そう思うとこんな時間になってしまったことも無駄ではないのではないか。そんなことを考え始めてこんな時間になった。そもそもなんでそんなことを考えていたのだろうと過去を振り返っているうちにこんな時間になった。何気なくこんな時間になった。きっと俺たちはこんな時間に辿り着くことをどこかで知っていたんじゃないかな、そう思うとこんな時間にならざるを得なかった。こんな時間になったことに気付いてもこんな時間の中で書くことを止められない俺が書き続けてこんな時間になった。こんな時間になってこんな時間になった。
通るべきところを通って、くぐるべきところをくぐって、行き着いた先がこんな時間だったとは。
想い出の味はいつもほろ苦く、そして甘い。