『ラルース社会学事典』(弘文堂、1997年)

大衆社会と大衆文化」(B.V.)
産業社会や民主主義社会などの表現とは異なり、大衆社会は輪郭の明確さを欠いたものとして示される。この明確さの欠如は現代社会の特殊性を明らかにするのに用いられる言葉にかかわるものである。産業化、都市化、賃労働者化という三重の動向から産み出され、政治的には普通選挙制度の確立によって促進された大衆は均質な社会的集合を指し、ほとんどの場合、そこから自分だけは除外する個人により軽蔑的な仕方で理解されている。