書評

とりあえずここ最近読んだ本。

どれを何月に読んだとかは忘れた。 思い出す気もあんまない。 自由参加者はそういうのに縛られない! ディスコ探偵水曜日〈上〉作者: 舞城王太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/07メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 191回この商品を含むブログ (19…

後藤道夫『戦後思想ヘゲモニーの終焉と新福祉国家構想』(旬報社、2006年)(2)

激しい勢いで進んでいる新自由主義的社会改編への対抗戦略として、また同時に、近い将来の社会変革の目標として、新たなタイプの「福祉国家」を考えたい(p315) 福祉国家は、まず、資本=賃労働関係をふくむ市場経済を大前提としたうえでの、市場にたいす…

鈴木幸寿「大衆化と大衆社会」福武直編『講座社会学第七巻 大衆社会』(東京大学出版会、1957年)

資本主義体制においてみられる独占化と経営のビューロクラシー化、社会主義体制においてすらみられるビューロクラシーの存在は、一方では労働者群と経営者・新中間層の階層分化を明確にすると同時に、そこで働き、勤務する人々の組織が、階級対立という現実…

真田是『現代社会学と社会問題』(青木書店、1965年)

(大衆社会論の)第一の問題点は、現代社会を階級関係においてとらえるというよりも、エリート――マスの軸でとらえていることにある。……とにかくエリート――マスの軸が必要にされる根拠は何なのか。……生産関係の問題とは離れて、現代社会を性格づける独自の基…

鷲田小彌太『昭和思想全史』(三一書房、1991年)

しかし、私のみるところ、戦後思想は、松下圭一の問題提起によって、戦後固有の意味の歩みを開始した、といいたい。……戦後もちきたらされた、真に戦後的な思想の時間的・空間的特質を分析するに足る問題構成は、20代の半ばをすぎたばかりの一政治学者松下圭…

山田竜作『大衆社会とデモクラシー』(風行社、2004年)(2)

彼(加藤秀俊)は、こうした通俗化した大衆社会理解に疑問を呈し、……安保闘争のピーク時に反政府運動を担った人々の少なくない部分は、「一見アホウふうの人間として見られてきたひとびと」であると指摘した。 私は、これまで大衆社会論が指摘してきたさまざ…

後藤道夫編『ラディカルに哲学する5 新たな社会への基礎イメージ』(大月書店、1995年)

私見では、大衆社会の形成は、19世紀後半から戦間期までの初期的大衆社会と、第二次大戦後のいわゆる「豊かな社会」の段階に照応するものとの、二段階を区別することができる。この段階区分は福祉国家にもあてはまると思われる。 大衆社会の二段階については…

後藤道夫編『ラディカルに哲学する4 日常世界を支配するもの』(大月書店、1995年)

あらかじめ議論の方向を示すと、本稿では、現代帝国主義と古典的帝国主義の違いと同一性を次のような形で論理化しようとつとめた。両帝国主義は、ともに、国民国家という政治的枠組みと資本の本来的国際性とのズレと衝突に根拠をもち、その矛盾を国民国家の…

大嶽秀夫『高度成長期の政治学』(東京大学出版会、1999年)

ところで、松下の指摘した「現代社会」としての「大衆社会」の特徴は、彼自身も充分に認識していたように、実は、西欧では第一次世界大戦までに顕著になり、大恐慌直後の1930年までに完成をみた諸現象である。普通選挙による社会主義政党の議会制民主主義化…

藪野祐三『先進社会=日本の政治』(法律文化社、1987年)

すでに整理したように戦後日本の政治研究は、第一期=思想としての政治学、第二期=運動としての政治学、そして第三期=科学としての政治学という歴史をもっていた。このことは政治研究史上の単なる推移ではなく、政治研究の対象(現実の政治)の推移も同時…

アントニオ・ネグリ=マイケル・ハート『帝国』(以文社、2003年)

(一部のみ読了) 私たちの研究は、<帝国>の権力と<帝国>的主権の仕組みは、もっとも一般的な規模において、それらのグローバル性において対峙したときにのみ理解できるという仮説から出発した。<帝国>とその世界市場に闘いを挑み、またそれらに抵抗す…

後藤道夫『戦後思想ヘゲモニーの終焉と新福祉国家構想』(旬報社、2006年)

ふりかえれば、そもそも20世紀の帝国主義戦争は、近代的諸価値の帝国主義的解釈(「文明」「効率」「国益」などを軸とした)をともなって行われており、いかにそれが野蛮で非人間的な内容をもったものであっても、それを前近代的とみなすことはできない。本…

『新社会学辞典』(有斐閣、1993年)

「公衆/大衆」(藤竹暁) ……しかし現代社会は、 ①公衆像が前提にしているような共通の利害を共有する人間ではなく、さまざまな利害をもつ異質な人間の集合体としての大衆によって構成されている。 ②大衆が意見表明を要求される争点は多岐にわたっており、ま…

『社会学事典』(弘文堂、1994年)

「大衆」(塩原勉) この概念は複合的な意味をもっている。ブルーマーのように、集合体の下位類型として群集・公衆・大衆を概念化する場合には、大衆とは異質な属性や背景をもつ匿名の多数者からなる未組織の集合体を意味する。 19世紀末にル・ボンは「群集…

『社会学小辞典』(有斐閣、2005年)

「大衆」 一般には、群集・公衆と区別され、大多数の人びとから成る集合体であり、社会的地位・階級・職業・学歴・財産などの社会的障壁を超えて構成され、異質性をその特質としている。大衆は互いに見知らぬ個人から構成される匿名的集団であり、そこでは非…

『ラルース社会学事典』(弘文堂、1997年)

「大衆社会と大衆文化」(B.V.) 産業社会や民主主義社会などの表現とは異なり、大衆社会は輪郭の明確さを欠いたものとして示される。この明確さの欠如は現代社会の特殊性を明らかにするのに用いられる言葉にかかわるものである。産業化、都市化、賃労働者化…

『政治学事典』(弘文堂、2000年)

「大衆」(奥井智之) 大衆は人間の社会的な存在規定の1つ。英語のmassは元々「かたまり」という意味をもつ。それは大衆の量的な大きさと質的なとらえがたさとを暗示している。 ……いずれにしても大きな、とらえがたい人々の集団が社会の前面に登場してきた…

大学教育社『現代政治学事典』(ブレーン出版、1998年)

「大衆」 大衆社会論の系譜のなかでは、貴族主義的なそれから第二次世界大戦後のアメリカ社会学のそれにいたるまで、多様な内容を含みながらネガティブなシンボルとして使用されている。 相互に匿名で社会的地位・階級・職業・学歴など異質な属性をもつ人び…

杉山光信「大衆社会」『岩波哲学・思想事典』(岩波書店、1998年)

今日では大衆社会論はさまざまに批判され過去のものとなっている。たとえば戦前のドイツ社会について中間集団や媒介組織が弱体であったとされるが、ファシズム運動がそれほど広まらなかったフランスよりもそれらは強固であったなど、事実との不一致が指摘さ…

松下圭一『現代政治の条件』(中央公論社、1959年)

20世紀における欧米資本主義の独占段階への移行は、「経済」における資本構成上の高度化のみならず、この高度化の前提をなす生産の社会化を基礎として、「社会」の形態変化をもたらした(p10) 生産の社会化を基礎とする資本主義の産業資本段階より独占資本…

「戦後日本の社会状況 ――日本型「大衆社会」の安定装置――」『講座 今日の日本資本主義 第四巻 日本資本主義の支配構造』(大月書店、1982年)

国家、私企業、組合など社会生活の全般にわたる官僚制化の進行という認識を機軸に、大衆民主主義の進展とそこにみられる特有の社会心理的諸現象、とくにその病理的徴候の認識をくみあわせて成立したのが、その後における大衆社会論だといってよい(p308) …

後藤道夫『収縮する日本型<大衆社会>』要約

「大衆社会」 「大衆」が恒常的に表舞台にでた社会のこと。 一部の名望家(古典的西欧市民社会の「市民」含む)だけでなく、貧しい労働者や商人、および地方の小農民などからなる「大衆」が、国民国家の公民としての資格を与えられてその社会の実質的な成員…

村上泰亮「ゆらぎの中の大衆社会」(『中央公論』1985年5月)『村上泰亮著作集5』中央公論社、1997年

元来、massあるいはmass societyという概念は、十九世紀ヨーロッパの知的伝統の下で登場した概念で、明らかに負の価値を背負っている。このような負の概念としての側面を厳しくとり出して分析を構築したのが、最近の西部邁氏の一連の労作で、私の知るかぎり…

後藤道夫『戦後思想ヘゲモニーの終焉と新福祉国家構想』

ふりかえれば、そもそも20世紀の帝国主義戦争は、近代的諸価値の帝国主義的解釈(「文明」「効率」「国益」などを軸とした)をともなって行われており、いかにそれが野蛮で非人間的な内容をもったものであっても、それを前近代的とみなすことはできない。本…

山田竜作『大衆社会とデモクラシー』(風行社、2004年)・要約的抜粋

要約 「デモクラシーの時代」とされる「現代」とは何か、という問いに答えようとする際の出発点・立脚点が問い直されなければならない(p8) 大衆社会ということで過去に何が議論されてきたのか(p12) 松下圭一の政治理論、50年代の「市民政治理論」研究…

村上泰亮『新中間大衆の時代』・書評

(関連ありげな部分を飛び飛びに読んだだけなのでアレですが) 要約 戦後経済同様、戦後の日本政治も他の先進産業諸国に見られない独特の軌跡を示してきた。その最大の特徴は他に例のない保守政党の全期間に及ぶ優位である(p159) 高度大衆消費社会は、階…

西部邁『大衆の病理―袋小路にたちすくむ戦後日本』・感想

すいません、途中で投げました(ボム) うわあ、これも一応論文できるまでに読まなきゃダメなのかなあ? 勘弁して欲しい(笑) 読んだ部分だけを無理矢理まとめると 「快楽主義と平等主義の行き過ぎが産んだ『豊かな社会の病理』を表すためにいま再び大衆批判…

辻村明『大衆社会と社会主義社会』・書評

要約 大衆社会現象が現代社会の急所を突く研究分野であるなら、同じアプローチで社会主義社会に対しても分析がなされるべき。そのための材料はすでにある。(p鄯) 第一章 第一節 私がマルクス主義者に抱く疑問とは、彼らが資本主義社会については事実の次…

西村勝彦『大衆社会論』(誠信書房、1969年(新訂版。旧版1958年))・要約なんだか抜粋なんだか

Ⅰ 大衆社会の課題 今日では、大衆社会と呼ぶにふさわしい現象がわれわれの前に現れている。 大衆社会という語が用いられるとともにそれが強く認識され始めたのは、ファシズムが自由主義的民主主義に代わって現実化した1930年代に入ってから。従って発想とし…

清水幾太郎『社会心理学』・感想

要約をやっと書き終わったので(要約というより自分へのメモみたいになってるけど気にしない)そろそろ感想を書きたいんだけれどもなんかすげー疲れたので手短にまとめてまた後日書き足したいと思いつつとりあえず今言っておきたいことを書いておく。 ときど…